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診療室日記589

田舎は高齢者が多く・・・というのは皆様想像できると思う。
でも、都会に暮らす人たちが想像するのは、田舎で畑などをしながらのんびり暮らす姿ではないだろうか~。

たしかにそういう人も多い。

しかし、畑もろくにできないくらいになってくると、かなり大変な現実が見えてくる。

まず、運転免許証返上によって、移動が困難になる。
公共交通機関がなくなっているので、主な交通機関は町営バスとデマンドバスだ。

町営バスのバス停まで歩けない。
デマンドバスの予約電話が出来ない。

よくある。

タクシーはすでに無く(唯一あったタクシーの運転手もすでに高齢化を理由に廃業しました)、あとは近所の人やら身内や知人を頼るしかない。


ウチの歯科医院も、予約診療が難しくなっている。

デマンドバスの予約くらいはウチで代行するが、予約したデマンドバスにきちんと乗せるのが大変なのだ。連絡しても忘れてしまうし、ヘタをするとどこかへ行ってしまう。
仕方がないので、患者の近所の人や身内に人に電話して、頼んだりもする。

昨日は高齢者夫婦が来た。来るまでにも手配から大変だったのだが(^。^;)。

なかなか手配がうまくいかなくて、本来なら私が働かない時間に来てもらうことにした。
そのほうがゆっくり付きっきりになれるから。

奥さんのほうがかなり手がかかり、その奥さんを89の旦那様が面倒みている。大変だろうなあと想像するだけでもわかるが、目の前で見ていると本当に大変だ。

奥さんは、トイレが近い。んで、突然言い出す。前回はセメントを練ってる途中で「トイレ行ってくる」と、行ってしまった。練ってるセメントは廃棄(ToT)。
ま、こればかりは止めれないからねぇ。
下手に我慢させると、もっとおおごとになってしまう(笑)。

今回は、2-3度トイレへ行った。そのたびスタッフひとりが付き添う。
ウチも人手不足状態で仕事してるので(現在常勤衛生士ひとりが産休中です)、ひとりが付きっきりになるとイタイ(>_<)。

電話が鳴った。
「はあい!出ま~す」と言って、電話をとったのは私だ。
患者がトイレに行ってて、手が空いているからね(笑)。
ん~、ヘッドホンタイプの電話が欲しい。首の角度を変えると通話になったりすると、さらに嬉しいなあ。誰か発明してくれないかしら?(笑)

ずっとマイペースで喋ったり行動したりするので、歯医者に居る間もこちらは振り回されまくる。
旦那様は毎日こんな調子なんだろうなあ。

日本中あちこちでこんな光景が見られるんだろうなあと思う。
高齢者夫婦の老老介護の現実を見た。ま、私たちはちょくちょく見るのだが、見ない人は全く見ることはないだろう。

町の若い人たちにも、少し想像してみてもらいたいと思う。

保険診療の初診料や再診料に、”高齢者加算”が欲しい。全員でなくていいから、”介護認定受けている高齢者には加算が欲しいよなあ”と思う。

高齢者だらけの地域で働く歯医者の小さな願いです(笑)。




by tamaki50 | 2020-07-17 09:54 | 診療室日記 | Comments(0)
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